天皇陛下のお仕事とはかなりの激務。高齢の陛下は身を削って職務を勤められているようです

   

天皇陛下が生前退位を考えられている報道がありました。

82歳になられたました陛下ですが、精力的にお仕事されています。

宮内庁のHPには陛下のご活動を紹介するページがあります。

今回は、天皇陛下のお仕事について調べたいと思います。

 

天皇とは

日本国憲法において、1条に「日本国民統合の象徴」と、されております。

大日本帝国憲法においては、天皇は元首であり、統治権や統帥権をもつ絶対的な権力者であることが明記されております。

日本国憲法は色々な議論はあるにしてもGHQと日本の政府が話し合って作られたものであり、天皇に関し曖昧な部分を作ってしまっと言えます。

「『日本国民の統合の象徴』ってなに?」と、子供に聞かれてどう答えます?

5歳ぐらいの子供に教えるのは難しいと思いますし、僕自身もそのような事を教わったことはありません。

日本国憲法が施行され、2017年で70年を迎えます。

この70年間、「日本国民統合の象徴」で、元首ではないけど対外的には元首として振舞うという、微妙な存在になっております。

日本国憲法第四条では「天皇は、この憲法の定める国事に関する行為のみを行ひ、国政に関する権能を有しない。」と規定されております。

この規定から、天皇の政治利用の禁止が言われるわけです。

国事行為においては政治的なもの、例えば「衆議院の解散」は天皇の国事行為ですが、この国事行為も日本国憲法第三条「天皇の国事に関するすべての行為には、内閣の助言と承認を必要とし、内閣が、その責任を負ふ。」に基づくものなので、軽い表現をすると「衆議院解散を決めたから、衆議院解散して」と内閣総理大臣が天皇陛下に言うようなものなのです。

しかし、国民からの信頼を勝ち得ている今上天皇(きんじょうてんのう 在位中の天皇)陛下はもちろん、先代の昭和天皇にも傀儡(あやつり人形)のような存在では無い事を国民は感じていますし、政権を運営している多くの政治家も陛下に対して最大の敬意をもって接するのでそのような事は無いはずですが、最近の政権では陛下への敬意が少ない対応が見られるような分部も一部であるような気がします。

 

天皇は神道(皇室神道)の神官でもあります。そのため、宮中祭祀(きゅうちゅうさいし)を執り行っております。

天皇の国事行為とは

天皇の国事行為は憲法の7条により定められています。

  1. 憲法改正、法律、政令及び条約を公布すること。
  2. 国会を召集すること。
  3. 衆議院を解散すること。
  4. 国会議員の総選挙の施行を公示すること。
  5. 国務大臣及び法律の定めるその他の官吏の任免並びに全権委任状及び大使及び公使の信任状を認証すること。
  6. 大赦、特赦、減刑、刑の執行の免除及び復権を認証すること。
  7. 栄典を授与すること。
  8. 批准書及び法律の定めるその他の外交文書を認証すること。
  9. 外国の大使及び公使を接受すること。
  10. 儀式を行ふこと。

これらの事を、日本国憲法第三条「天皇の国事に関するすべての行為には、内閣の助言と承認を必要とし、内閣が、その責任を負ふ。」に基づき行うわけです。

宮内庁によると、1年間に1000件以上の書類に目を通しているそうです。  (出典 宮内庁キッズページ

5項での認証官への認証は年間20件(27年は18件 89人)に行っております。

9項は信任状捧呈式でお会いになる事だと思いますが、年間で30件ほどあります。

国事行為だけを見てもかなりの仕事量だと思います。

天皇の国事行為以外の公務

国事行為以外に様々な公務があります。

 

行幸敬
国内に天皇陛下と皇后陛下が一緒に出かけられることです。
天皇陛下が皇后陛下と一緒でない場合は、「行幸」になります。

被災地に天皇皇后両陛下が行幸啓され、被災者の方々が勇気を頂いた姿はニュースなどでご覧になられた方も多いと思います。

天皇皇后両陛下は,全国戦没者追悼式・日本学士院授賞式・日本芸術院授賞式など都内の式典等にお出ましになるほか,全国植樹祭・国民体育大会・全国豊かな海づくり大会にご出席のため地方に行幸啓になり,併せて地元の福祉・文化・産業施設などをお訪ねになって関係者を激励なさいます。

また,大きな災害が発生した際には,現地に赴かれ,犠牲者を悼み,被災者を慰め,救援活動に携わる人々を励まされます。

皇太子同妃両殿下はじめ皇族方も,全国的な規模の各種大会や総裁・名誉総裁等にご就任の団体の行事などにご出席のため,東京都内や地方へお出ましになり,併せて地方事情,福祉・文化施設などをご視察になって,関係者などを励ましておられます。また,大きな災害が発生した際には,お見舞に行かれています。

 出典 宮内庁ホームページ

国賓・公賓等とのご接遇

外国の要人とお会いになる事です。
国賓であれば、歓迎行事、会見、宮中晩餐会などにの接遇をされております。

外国の要人との面会は、国事行為に含まれていないとされていますが、習近平氏が来日された時の会見問題では国事行為かどうかが議論されています。 天皇特例会見

その他にも

  • 勲章親授式
  • ご会見・ご引見
  • 拝謁・お茶・ご会釈
  • 午餐・晩餐
  • 園遊会
  • 外国訪問

など多くの公務を行われております。

 

宮中祭祀(きゅうちゅうさいし)とは

宮中祭祀(きゅうちゅうさいし)は、天皇が国家と国民の安寧と繁栄を祈ることを目的におこなう祭祀。皇居宮中三殿で行われる祭祀には、天皇が自ら祭典を斎行し、御告文を奏上する大祭と、掌典長(掌典職)らが祭典を行い、天皇が拝礼する小祭がある。

天皇は神道(皇室神道)の最高神官でもあります。

この宮中祭祀については、「天皇が私的に執り行う儀式」と、されております。

費用も陛下の私的なお金(内廷費 ないていひ)から支出されております。

主要な祭儀は下記の通りです。

月日 祭儀 内容
1月1日 四方拝しほうはい 早朝に天皇陛下が神嘉殿南庭で伊勢の神宮,山陵および四方の神々をご遙拝になる年中最初の行事
歳旦祭さいたんさい 早朝に三殿で行われる年始の祭典
1月3日 元始祭げんしさい 年始に当たって皇位の大本と由来とを祝し,国家国民の繁栄を三殿で祈られる祭典
1月4日 奏事始そうじはじめ 掌典長が年始に当たって,伊勢の神宮および宮中の祭事のことを天皇陛下に申し上げる行事
1月7日 昭和天皇祭しょうわてんのうさい 昭和天皇の崩御相当日に皇霊殿で行われる祭典(陵所においても祭典がある。)夜は御神楽がある。
1月30日 孝明天皇例祭こうめいてんのうれいさい 孝明天皇の崩御相当日に皇霊殿で行われる祭典(陵所においても祭典がある。)
2月17日 祈年祭きねんさい 三殿で行われる年穀豊穣祈願の祭典
春分の日 春季皇霊祭しゅんきこうれいさい 春分の日に皇霊殿で行われるご先祖祭
春季神殿祭しゅんきしんでんさい 春分の日に神殿で行われる神恩感謝の祭典
4月3日 神武天皇祭じんむてんのうさい 神武天皇の崩御相当日に皇霊殿で行われる祭典(陵所においても祭典がある。)
皇霊殿御神楽こうれいでんみかぐら 神武天皇祭の夜,特に御神楽を奉奏して神霊をなごめる祭典
6月16日 香淳皇后例祭こうじゅんこうごうれいさい 香淳皇后の崩御相当日に皇霊殿で行われる祭典(陵所においても祭典がある。)
6月30日 節折よおり 天皇陛下のために行われるお祓いの行事
大祓おおはらい 神嘉殿の前で,皇族をはじめ国民のために行われるお祓いの行事
7月30日 明治天皇例祭めいじてんのうれいさい 明治天皇の崩御相当日に皇霊殿で行われる祭典(陵所においても祭典がある。)
秋分の日 秋季皇霊祭しゅうきこうれいさい 秋分の日に皇霊殿で行われるご先祖祭
秋季神殿祭しゅうきしんでんさい 秋分の日に神殿で行われる神恩感謝の祭典
10月17日 神嘗祭かんなめさい 賢所に新穀をお供えになる神恩感謝の祭典。この朝天皇陛下は神嘉殿において伊勢の神宮をご遙拝になる。
11月23日 新嘗祭にいなめさい 天皇陛下が,神嘉殿において新穀を皇祖はじめ神々にお供えになって,神恩を感謝された後,陛下自らもお召し上がりになる祭典。宮中恒例祭典の中の最も重要なもの。天皇陛下自らご栽培になった新穀もお供えになる。
12月中旬 賢所御神楽かしこどころみかぐら 夕刻から賢所に御神楽を奉奏して神霊をなごめる祭典
12月23日 天長祭てんちょうさい 天皇陛下のお誕生日を祝して三殿で行われる祭典
12月25日 大正天皇例祭たいしょうてんのうれいさい 大正天皇の崩御相当日に皇霊殿で行われる祭典(陵所においても祭典がある。)
12月31日 節折よおり 天皇陛下のために行われるお祓いの行事
大祓おおはらい 神嘉殿の前で,皇族をはじめ国民のために行われるお祓いの行事

出典 宮内庁ホームページ

祭儀によっては長時間に渡るものもあり、陛下の身体に大きな負担がかかっている事は簡単に想像できると思います。

 

やっぷの感想

厳密な制度は違うにしても、現在の天皇はイギリス王室と同じように「君臨すれど統治せず」の形になっております。

日本国憲法を制定する際に、そのようにしたのでしょう。

今上天皇は戦前の生まれであり、幼いころに戦争を知っています。

また、お父上の昭和天皇から戦争に関する想いなどを聞くことも多くあったのではないでしょう。

日本国、日本国民の事を考え、権限が無い中で何とかしようとするのは、権限があってするよりも大変なものだと思います。

 

 

 

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